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「スマホ脳」とは
平均で一日四時間、若者の二割は七時間も使うスマホ。だがスティーブ・ジョブズを筆頭に、IT業界のトップはわが子にデジタル・デバイスを与えないという。なぜか?睡眠障害、うつ、記憶力や集中力、学力の低下、依存―最新研究が明らかにするのはスマホの便利さに溺れているうちにあなたの脳が確実に蝕まれていく現実だ。教育大国スウェーデンを震撼させ、社会現象となった世界的ベストセラーがついに日本上陸。
現代の若者がスマホに依存しているがために引き起こされる身体の問題を論理的に説明している「スマホ脳」。
情報過多の中、様々な悩みや問題を解決してくれる「スマホ」は便利な反面SNSの利用によって他者との競争心を煽る羽目になったり、ものごとの優先順位を識別しづらくなったりと、人の心への悪影響もあります。
「ストレス」や「不安」を感じやすい人と感じにくい人がいるのはなぜなのか、スウェーデンの精神科医が生物学的に紐解いて答えをだしてくれます。
著者のアンデシュ・ハンセンについて
アンデシュ・ハンセン(Anders Hansen) 精神科医。ノーベル賞選定で知られる名門カロリンスカ医科大学を卒業後、ストックホルム商科大学にて経営学修士(MBA)を取得。現在は王家が名誉院長を務めるストックホルムのソフィアヘメット病院に勤務しながら執筆活動を行う傍ら、有名テレビ番組でナビゲーターを務めるなど精力的にメディア活動を続ける。前作『一流の頭脳』人口1000万人のスウェーデンで60万部が売れ、その後世界的ベストセラーに。久山葉子(くやま・ようこ 1975年兵庫県生まれ。翻訳家。エッセイスト。神戸女学院大学文学部英文学科卒。スウェーデン大使館商務部勤務を経て、現在はスウェーデン在住。
署名的な精神科医は、北欧の方が多いです。

この本に対する評価
デジタル化に向かう未来への警鐘とその処方箋。
私はスマホを持っていないが、無くて困ったことは一度もない。なぜなら使ったことがないからだ。
著者ハンセンは、スマホは最新のドラッグ(麻薬)だという。使ったことがなければ必要ないし欲しいとも思わないが、使うと手離せなくなり、気づかないうちに依存症になっている。
この本の凄さは、スマホの問題点を科学的エビデンスと、脳の進化論的・遺伝子学的視点から分かり易く説くところにある。また、スマホを全否定していないので好感が持てる。SNSの開発者は、人間の心理と報酬システムを詳しく研究している。私たちは、気づかないうちに誰かに操られ、意のままに動かされているのであり、奴隷となり洗脳されて幸せを感じているのである。
中でも、子どもの頃からスマホを持たせることの危険性にはぞっとさせられた。著者の「私が子供の頃にスマホがなくてよかった」という一言がすべてを語っている。子供を持つ親は、ぜひ読んでほしい。今後、コロナ禍でデジタル化が加速することは間違いないだろう。便利になりその恩恵は計り知れないが、ライフスタイルのデジタル化に伴う精神病の増加や子供の発育不全など問題点も多い。本書はデジタル化に向かう未来への警鐘とその処方箋が書かれており、一読の価値が大いにある。
精神科医が書いたスマホが身体・脳に与える影響
子供もさることながら、私自身、朝起きてすぐにスマホをチェックして、その後も、数分おきに何かしらのアプリを立ち上げて・・・・。結果としていつの間にか時間を浪費していて、何もしていないのに妙に疲労感が残って。という状況です。本書はスマホがなぜ中毒性をもたらすのか?ということを多くの検証結果をもとに、深く説明をしてくれています。スマホを解約することはできませんが、少しずつ、距離を置くことから始めたいと思いました。
この本に対する世間の評価は、非常に高いです。
バランスを整えるために一番大切にしなければならないこと
①睡眠を優先する
結局「自分の身体の反応」は脳が決めることですし、一番大事なのは脳を労ることです。
睡眠は一番効率良く脳をリセットさせてくれます。
寝ている間脳が思考を整理をしてくれることで、起きた時「モヤモヤ」がなくなっていたりスッキリして朝をむかえることができます。
1日を最大限に活用できるようになるほか、充実感や満足感を素直に感じとることができるようになります。
②体をよく動かす
1日30分、二週間に合計2時間の筋トレまたは有酸素運作動が一番脳と体の健康に効果的です。
研究では、それ以上の運動をすることにより疲労が回復しやすくなるとの結果は出なかったそう。
仕事帰り、疲れてソファーに寝転がって晩酌をしながら寝るのもストレス発散にはなるかもしれないけれど、長期的にみたらすぐ調子を崩してしまうはず。

ただ、これは毎日徹底しなくてもいい事です。
自分に厳しくしすぎると逆に疲れてしまうので、イレギュラーな日とかがあっても全然いいです。
縛りを設けてしまって、「今日は運動できなかったな、これじゃ体の調子悪くなっちゃう」とネガティブな感情になってしまうと、それがストレスに繋がってしまいます。
③社会的な関係を築く
友達や家族などとの連絡を欠かさずとるようにしましょう。
スマホは体に悪影響を及ぼすことが多いですが、コロナで離れ離れになった人との連絡手段としては大変優秀です。
LineやInstagramのメッセージ機能を上手に活用して、人への感謝や思いやりを忘れずに伝え続けましょう。

④適度なストレスに自分をさらす
長期的なストレスは体に悪影響を及ぼすことが多いですが、ストレスが全くない生活は逆に人の感覚や感情を鈍らせてしまうそうです。
自分にとってストレスとなる事を突き詰めてみて、感情と日々向き合っていく事が大事です。
そういう余裕がない日は、夜寝る前にしっかりと落ち着ける状態を設けて、自分の身体の状態について考える事が大切。
迷った時は、立ち止まって3秒考えて、あとは直感に任せてしまってもいいと思います。
過去の過ちは未来の成功につながるので、あんまり気にしなくていい。
その先の未来に不安があるのであれば、身体が起こす負の感情はごく自然なことであると考えましょう。

⑤スマホの使用を制限する
この本のコンセプトである「スマホ」の利用時間を意識的に制限することが大事です。
ドーパミン放出を抑え理性をコントロールする力をやしなうことで、脳も優先順位をつけやすくなりますし、心身ともに健康に毎日を送る事ができるはずです。
スマホの利用を制限する事で、今までスマホに費やしてきた時間を趣味や睡眠に当てる事ができます。
夜にブルーライトを見ることも減るため、睡眠の質も改善するはずです。

不安を感じるのが、「普通」
精神的に感じる「不安」は、〜なるかもしれないどうしようからきます。
それは自分が感じる物理的な「ストレス」から起因していて、ストレスを感じるのは身の危険を感じているから。
生物学的に考えるとそのストレス反応は、自分達の種族が絶滅しなように気をつけているからであって、自分を守るために身体が勝手に反応するものなのです。
どうしても不安や体の反応に敏感になってしまった時は、「その不安」についての本を落ち着いて読んでみましょう。
それでも落ち着けない時は、何もしない。
何もしない、頭の中の考えを全て一旦捨ててしまいましょう。
メリハリをつけることの重要性
やる時はやる。
そして休む時は休む。
メリハリをつけることが大事です。
集中力を継続することによるストレスを怖がりすぎる必要はないです。
思いっきりやった後にはそれ相当の達成感があるし、自信もつくはずでしょう。
気をつけることは長時間続くストレスです。
たとえば、恋人との関係悪化、締切り、宿題が終わらないという焦りなどです。
1ヶ月以上続くプロジェクトなども同じで、長期的なストレスがかかる状況です。
生きていればそういった事も絶対にあると思いますが、状況によっては感情が乱れやすくなるため落ち着いて一週間に一回くらいはプロジェクトから離れて本読んだりしてリセットすることが大事です。
それでも焦ってしまう時の対処法として一番効果的なのは、出来るだけゆっくり動いてみること。
人間にとって焦る事は必然ですしパニックになる事も必然です。
焦ったりパニックになったりした時に、どういう行動を取るかが精神的な成長につながっていくと思います。
この本を読んで感じたことのまとめ
この本を読んで、自分のストレスの感じ方について考えることができました。
自分はどういったことがストレスに感じているのか、その時に体がどんな反応をするのかを気づかせてくれました。
体の反応には必ず理由があって、それは体が自分を守っているということだと認識することができました。
こういったことを気づかせてくれた作者、アンデシュ・ハンセンに感謝を伝えたいです。

メンタルの不調はなってからの治療は休養時間が多く必要ですが、予防することはそれに比べて圧倒的に簡単です。
体の危険信号を無視せず、違和感を感じたら休むようにしましょう。
長期的なストレスを感じるようになったら、客観的に自分を見つめ直し、何が自分にとって一番大事なのか一度立ち止まって確認してみましょう。
その時にこの本を読んで感情をリセットし自分を理解することができれば、きっといい判断が下せるはずです。
「最近ストレスを感じやすいなあ」、「メンタルの不調を抱えているかも」といった人に是非お勧めしたいです。
2021年2月3日現在、「スマホ脳」はAmazonジャパンの電子書籍ランキング2位となっています。